第6章

松野里奈視点

午前七時、私は眠るのを諦めた。

パジャマのまま、音を立てないように階下へと忍び寄る。台所の明かりがついていた。ドアを押し開ける。

涼真がカウンターに立っていた。またしてもシャツを着ていない。腰の低い位置で穿いた、あのグレーのスウェットパンツ姿だ。

立ち去るべきだった。踵を返して、上の階に戻るべきだった。

でも、目を離すことができなかった。

台所の照明が彼の背中に影を落とし、一つ一つの筋肉を浮き彫りにしている。なんて広い肩幅。なんて細い腰。そして、あのスウェットパンツ――彼が振り向いて、私が見ていることに気づいた。

「起きてたんだ!」彼の顔がぱっと輝く。...

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