第321章 執着する小林岳

微かな風が吹き抜けた。

兄弟ふたりのあいだに、ぴんと張りつめた空気が走る。

小小林輝は、いつものように頑固だった。

「だから何? 俺は俺の推しがいじめられるのは絶対許さないし、あいつに我慢させるのも嫌なだけ。それに――」

「もういい」

小林輝が途中で遮る。「それ以上言うなら、お前を強制的に海外留学に出す」

「なんでだよ。俺は人間であって、お前のおもちゃじゃない。なんで勝手に決めつけるんだ!」

小小林輝は感情を爆発させ、椅子をはね飛ばすように立ち上がった。鋭い視線で小林輝をにらみつける。

小林輝は、ほんの一瞬だけ呆けたような顔をした。

「……好きにしろ。自分のことは自分で決め...

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