第332章 安田大吉の葛藤

「どうすればいいと言うんだ……」

安田大吉は、まさに八方塞がりだった。

息子が愛おしい。

だが、その愛おしい息子に危険が及ぶのは避けたい。

警察の捜査結果を待つまでもなく、大島璃々の身に起きた異変が、安田の大奥様の仕業であることは明白だった。

大奥様にしてみれば、俺に子供がいなければ、財産をすべて妹に譲ることに迷いがなくなるからだ。

安田大吉は袖の下で拳を固く握りしめ、目を血走らせて呻いた。

「お前はずっと俺のそばで見てきただろう。俺の人となりを知っているはずだ。長年、俺はあいつらに尽くしてきた。毎年金だって渡している。それなのになぜ、俺を解放してくれないんだ?」

夫として、...

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