第339章 悪辣な安田杏里

部屋の窓が開け放たれていた。

吹き込んでくる風に、髪がさらさらと揺れる。

オレンジ色の灯りの下、安田杏里は形相を歪め、口元に不気味な笑みを浮かべていた。その瞳は揺るぎない光を宿し、娘をじっと見つめている。

「今の状況じゃ、まともに嫁ぐなんて不可能だわ。でもね、手はあるのよ」

西村友紀は、理由のわからない薄気味悪さを感じた。

物心ついてからこのかた、母がこれほど異様な表情を浮かべたのを見たことがない。

胸の奥がざわざわと騒ぐ。

安田杏里は、底冷えするような声で言葉を紡いだ。

「目的を果たすためには、多少の犠牲は必要なの。もし青山聡に生殖能力がなくなり、さらに青山雅紀も種を失えば...

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