第349章 人はどこへ行った

「問題ありません。すぐにご案内します。社長なら、ちょうどコーヒーブレイク中ですから」

 青山光は、その言葉通り、気負うことなく社長室へと足を踏み入れた。

 出迎えた社長は五十代半ばといったところか。白髪の交じった頭髪。光の姿を認めるや否や、その表情は一瞬にして曇った。

「何をしに来た。言いたいことは分かっているが、無駄だぞ。契約通りに進めるだけだ」

 社長は単刀直入に告げ、頑として拒絶の姿勢を崩さない。

 光は愛想笑いを浮かべた。

「弊社の不手際は重々承知しております。契約通り、ビジネスライクに処理すべきという点も。ただ、その賠償についてですが……」

「契約通りと言ったのはそち...

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