第352章 演技開始

さて、次は青山光の独壇場だった。

彼女は立て板に水のごとく言葉を紡ぎ、これでもかというほどの甘い言葉で男をおだて上げ、有頂天にさせた。

男は上機嫌だった。口元など耳まで裂けんばかりに緩んでいる。「今日は殊勝な態度だから見逃してやるよ。また明日来るからな」

男は言うが早いか立ち去った。

扉が閉ざされた瞬間、室内は再び薄暗闇に包まれる。

もっとも、男は去り際に彼女の自由を回復させていた。手足の縄はすべて解かれている。

青山光は手足を動かし、頭を撫で、そして顔に触れた。頬が腫れ上がっているのがわかる。

なんとか命拾いしたようだ。

それにしても、青山雅紀はまだ助けに来ないのか。

誰...

ログインして続きを読む