第401章 お婆さんの頼み

病室は、ふたたび静けさを取り戻していた。

お婆さんは視線を青山雅紀に向け、今にも消えそうな声で息を吐くように言った。

「……あんたが私を恨んでるのも、このクソ野郎を恨んでるのも、分かってるよ。私たちが、あんたに苦しみしか与えなかった……」

娘は男の浮気相手になり、人の家庭を壊した。

お婆さんは、そのことを一生の汚点として背負ってきた。

この人生、誰に対しても後ろめたいことはしていないつもりだったのに、青山の家族にだけは申し訳なくてたまらない。

どうしようもなかった。良心の呵責に、ずっと苛まれてきたのだ。

青山雅紀は伏し目がちに視線を落とし、何も言わなかった。

何を言えばいい。...

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