第506章 別の目的

「ふん」

安田杏里が鼻で笑っただけで、態度は十分すぎるほど伝わった。

中島は、いたたまれないように安田大吉へと視線を向ける。

みじめ、という言葉でも足りない有様だった。精神科病院からはもう出てきているというのに、着ているのはまだ病院支給のパジャマのまま。これだけ人がいながら、着替えさせようとする者がひとりもいなかったのだ。

さらに痛々しいのは、その傷だらけで歪んだ顔と、全身に残る無数の痕。白いものの混じった髪に、やつれきった面差し。

かつての安田大吉には、意気軒昂という言葉がよく似合っていた。だが今そこに立つのは、この世から今にも消え去りそうな、老人そのものだった。

彼はぎゅっと...

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