第12章

男は彼女に背を向けたまま、路地の地面に倒れていた。近づくと、彼女の手が男の身体をゆっくりと仰向けに返す。頭上の弱々しい電球の光に浮かび上がったのは――噂の吸血鬼よりもよほど整った、美しい顔だった。

だが二ノ宮原子に、それを眺める余裕はない。

この顔は、ついさっき見たばかりだ。

「薄原川人……なんで、こんなところに!」

陸田運が慌てて駆け寄り、男の顔を見た瞬間、目を丸くする。

「うわ、なにこのイケメン……。でも血ぃ出すぎだろ、これ、もう助からねえんじゃ……てか、ボス、この男知ってんの?」

二ノ宮原子は陸田運を睨みつけ、冷えた声で言い捨てた。

「黙って」

そして視線を、薄原川人の...

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