第24章

もう少し距離を詰めようとした、その瞬間だった。

いきなり薄原川人の大きな手が腰を抱き込み、ぐいっと引き寄せられる。

「きゃっ!」

短い悲鳴。気づいたときには、二ノ宮原子の身体はすっぽりと薄原川人の腕の中に収まっていた。

「お酒入ってるくせに力だけは強いのね……早く離して!」

原子が声を荒げると、川人は口角をわずかに上げた。焦点の合わない瞳。目尻がうっすら赤い。

「姉ちゃん……ほんと会いたかった。もう、俺のこと要らないの?」

押し返していた手が、ぴたりと止まる。

姉ちゃん……?

つまり今の川人は、原子を「姉」と見ている。

原子は息を整え、川人の姉になりきるように声を柔らかく...

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