第25章

二ノ宮原子は紫と白を基調にしたオートクチュールのドレスを纏っていた。

リボンのようにまっすぐだった黒髪は、ゆるい波を描くウェーブに整えられ、後ろでまとめられている。

鏡の前に立つ姿は、まるで妖精郷から落ちてきた姫君。

タタタ、と。

背後で足音が弾み、薄原川人が彼女の後ろに現れた。片腕で腰を抱き寄せる。

「悪くない」

薄原川人は、そのイブニングドレスに相当満足しているらしい。

「どこへ行くの?」

鏡の中の二人は、誰が見てもよく似合っていた。

薄原川人は一度それを確かめるように眺め、それから二ノ宮原子の澄んだ瞳と視線を合わせる。

「行けば分かる」

二ノ宮原子は、彼の目の奥に...

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