第43章

薄原川人の動きが、ぴたりと止まった。瞳の奥には、まだ退ききらない欲が燻っている。

掠れた声で問う。

「どうした」

二ノ宮原子は薄原川人を情けなく見上げ、涙を滲ませた。

「痛い……。こういうの、嫌い」

薄原川人の顔色が落ちる。何度も、この女の喉を潰してやりたい衝動がよぎった。――それでも、こらえた。

彼は二ノ宮原子の横、ベッドに手をついて起き上がり、片手で彼女の顎を持ち上げる。

「余計な真似はするな。今日は見逃してやるが、次も同じとは限らない」

吐き捨てるように言い残し、薄原川人は浴室へ向かった。

冷水が肌を叩き、腹筋のラインを伝って滴り落ちる。その瞬間、薄原川人の口元に、歪...

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