第52章

薄原建人は膝を震わせ、くわえていた葉巻を取り落とした。

青ざめた顔で薄原川人を見上げる。

「薄原川人、俺はお前の父親だぞ。父親に向かって、その口の利き方は何だ」

薄原川人は冷ややかに薄い唇を吊り上げ、淡々と数を刻み始めた。

「三」

「二」

「言う! 言うから!」薄原建人の精神は崖っぷちだった。長年、怖くてたまらないのは結局この息子だ。

「……当時、お前の姉を笹谷家と縁組させるつもりだった」

薄原川人は足を上げ、茶卓を蹴りつけた。

バキッ、と嫌な音。卓に一本の亀裂が走り、上の茶器ががたがたと揺れる。

薄原建人が全身を震わせる。

「笹谷家の、あの老いぼれ」

薄原川人の全身...

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