第69章

薄原建人はその場で硬直し、狂ったように笑い出した。哄笑が廊下に響き、周囲の視線が怪訝そうに集まる。

『いいだろう、いい……俺が育てた息子が、俺にこんな真似をするとはな』

薄原川人の足取りが、ゆっくりと止まる。振り返り、薄原建人の目を静かに見据えた。

『俺を育てた? あんたにそんな資格はない』

薄原建人の顔色が目まぐるしく変わる。怒りと屈辱と、理解できない何かがない交ぜになった表情だった。

薄原川人は二ノ宮原子の手を引き、病院の裏庭へと連れていく。

人影はほとんどない。林原淳も、薄原川人に入口で遮られ、外に残された。

庭へ足を踏み入れた瞬間、二ノ宮原子はツタの絡む壁へ押しつけられ...

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