第8章

薄原川人には軽い潔癖がある。誰かが近くにいるだけでも我慢の限界で、風呂にも入っていない相手と同じベッドで眠るなんて、あり得ない。

二ノ宮原子は浴室へ押し込まれた。ガラス扉の向こうにある影から、露骨な嫌悪が伝わってくる。

原子はむっとして、扉越しに右フックの構えを作り、外の影をぎろりと睨む――が、結局は大人しく言われた通りに身体を洗った。

石けんの匂いが肌に残るほど丁寧に洗い上げ、髪はまだ少し湿ったまま、ベッドの前に立つ。

薄原川人は額を押さえたままベッドに倒れ込み、眠っているように見えた。

二ノ宮原子はそろそろと這うように近づき、首を傾げて寝顔を覗き込む。

神様が「これ以上ない」...

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