第9章

野山が大崎の頭を軽くぽんと叩き、こめかみを指でつついた。

「変なのは普通だよ。あんた、来たばっかで知らないだけ。――この二ノ宮さん、実は頭がちょっとアレなの。慣れれば平気」

大崎はこくりとうなずいたものの、使用人部屋の扉をちらりと見て、やはり胸のざわつきは消えなかった。

同じ頃、別の場所では――。

二ノ宮原子はとっくにタクシーで市中心部へ出ていた。

使用人部屋のベッドで横たわっている「二ノ宮原子」は、人形で作った偽物だ。声に関しては、小さなラジオと拡声器を仕掛けておき、タイミングを見て流している。

野山も大崎も騙すのは簡単だった。疑う素振りすらない。

二ノ宮原子は運転手に停車を...

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