第173章

その顔は間違いなく彼なのに、声だって昔と同じなのに――彼女を見る目だけが変わっていた。

以前の川崎佑哉が自分を見るとき、瞳にはちゃんと温度があった。優しくて、まっすぐで。

けれど今のその視線は、氷の壁を一枚挟んだみたいに冷たく、よそよそしい。

『どうしたの?』

江原安美は手を伸ばし、彼の額に触れようとした。熱があるのか、それともどこか痛めたのか確かめたくて。

『具合悪いの? それともスイスでケガした? 頭、ぶつけたの?』

きっとこれは、記憶が抜けているせいだ。そうとしか思えなかった。

だが、指先が触れる前に――彼は彼女の手を叩き落とした。

パシン、と乾いた音。

江原安美の手...

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