第179章

江原安美の心臓がぎゅっと縮んだ。まるで誰かに乱暴に握り潰されたみたいに、細かな痛みがじわじわ広がる。

――写真なんて、存在すら知らなかった。

一枚も見ないうちに、全部消されていた。

胸の奥で渦巻く感情を押し殺し、江原安美は片石美樹を見据える。冷えた声で言った。

『それを私に言って、どういうつもり?』

『別に? 江原さんに一言、教えてあげようと思っただけ』

片石美樹は肩をすくめる。口調は軽いのに、敵意だけが露骨だった。

『昔はね、佑哉の心の中は、たぶんあなたでいっぱいだった。でも今、彼の隣にいるのは私。これからも、ずっと私だけ。私が唯一になる。彼と一生を共にする奥さんになるのは私...

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