第186章

片石美樹は堪えきれず、唇の端で毒づいた。『ほんっと、使えない! こんな簡単なことすらできないの?』

あれだけ時間をかけて綿密に段取りを組んだのに。あと一歩で手に入るはずだったのに――まさか、ここで全部が水の泡になるなんて。

タクシーは夜の街を疾走し、窓の外のネオンが矢のように後ろへ流れていく。

川崎佑哉は後部座席にもたれ、全身が焼けるように熱かった。薬が血の中で一気に回り、意識はずるずると沈んでいく。視界は二重に滲み、景色が揺れた。

頭の中はぐちゃぐちゃだ。それでも、ひとつだけ――骨に刻まれた本能みたいに、ひたすら明確な衝動が彼を引っ張っていた。

江原安美に会いに行け。

安美のと...

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