第26章

「江原さん、どうしてお一人で?」

赤いドレスを纏った女が寄ってくる。「川崎様はご一緒じゃないの?」

「少し用事があるそうで。あとで来ます」江原安美は淡々と答えた。

「へぇ~」佐藤がわざとらしく声を伸ばす。「まさか、別の女のところにでも?」

江原安美の表情は崩れない。

「佐藤さん、言葉を慎んで」

「聞いたんだけどさ。川崎様って最近、妊娠してる女の人に付き添って、病院によく行ってるんだって」佐藤はにやつきながら続ける。「江原さん、知ってる?」

「私の家庭のことに、ずいぶん熱心ですね」江原安美は冷えた声で言った。「佐藤さんこそ、いったい何がしたいんです?」

「家庭?」佐藤は笑う。「...

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