第28章

「私、手なんか出してない!」江原安美は彼の手を振りほどいた。「綿子が私のために手作りしてくれたオルゴールを、あの人が失くしたの。私は少し言い合いになっただけ」

川崎佑哉は眉間に深い皺を刻む。

「それだけで、命に関わる騒ぎになりかけたっていうのか?」

「妹が何週間もかけて作ってくれた、誕生日プレゼントよ!」安美の目が赤く滲む。「妹の気持ちを捨てられたみたいになって……それでも、ひとこと聞く権利もないの?」

「わざとじゃなかったんだろ。お前も引き際ってもんがある」佑哉の口調が硬くなる。「たとえ向こうが悪くても、押しちゃ駄目だ」

安美は呆けたように彼を見た。

「……私が押したって思って...

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