第38章

「それとも――」川崎佑哉は嘲るように言葉を継いだ。「今夜、俺が来るって分かってたから、わざと帰らなかったんじゃないのか?」

江原安美は勢いよく起き上がり、枕を掴むなり思いきり彼に投げつけた。

「川崎佑哉! 最低!」

掠れた声と一緒に、堪えていた涙が一気に溢れ出る。

真っ赤になったその瞳を見た瞬間、川崎佑哉の胸がぐっと掴まれたように痛んだ。

「……帰ってこなくて助かったよな。もしあいつが戻ってきて、俺たちがこんなことしてるのを見たら――おまえ、捨てられると思わない?」

江原安美は怒りで全身を震わせ、ベッドサイドのスタンドライトを掴んで叩きつけた。

川崎佑哉が顔を逸らして避ける。

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