第45章

「ごめんなさい……」

江原安美は口元を押さえ、足早に洗面所へ駆け込んだ。

お爺さんは一瞬、言葉を失った。

吐き終えて顔を洗い、安美がダイニングに戻ると、お爺さんは心配そうに眉を寄せる。

「安美、大丈夫か? 医者を呼んで診てもらうか?」

「平気。ちょっとお腹の調子が悪いだけ」

お爺さんは何か考え込むように安美を見つめ、テーブルの、ほとんど手のついていない蟹の皿へ視線を落としてから、ふいに口を開いた。

「安美……まさか、おまえ……」

安美の胸がきゅっと締まる。

「妊娠してるんじゃないか?」

「お爺さん、私、ただの胃腸――」

「本当に胃腸のせいか?」お爺さんの目が鋭く光る。「...

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