第49章

川崎佑哉は鼻で強く息を吐いた。

「俺が好きで連れてくと思ってんのか? じいさんが、おまえを連れて出ろってうるさいからだ。じゃなきゃ連れてきてねえ」

「じいさんには私が言うわ。あなたは気にしなくていい」

「江原安美……ほんと、暖簾に腕だな」

川崎佑哉は遠慮もせず、言葉を尖らせた。

「妻なら夫に付き合う義務があるだろ。おまえが妻の義務を果たさないなら、俺だって夫としての義務は果たさない。おまえの父親と妹――」

江原安美はかっとして、手にしていた筆を床へ放り投げた。

カラン、と乾いた音。

立ち上がり、川崎佑哉を睨みつける。

「……行けばいいんでしょ。行くわよ」

川崎佑哉が口元だ...

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