第60章

川崎佑哉の瞳の奥には、罪悪感が滲んでいた。足を止めることなく、江原安美を抱えたまま病室を出る。

「川崎佑哉、放して!」

江原安美は必死にもがいた。「行かない! 行かないって言ったでしょ!」

川崎佑哉は答えない。ただ腕に力を込め、いっそう強く抱き締めた。

何度か暴れたところで、江原安美の身体から力が抜けていく。

腹の奥が、またじくじくと痛んだ。

ふっと静かになった彼女を見て、川崎佑哉は意外そうに目を伏せる。青白い顔を覗き込み、震える声で言った。

「……今回だけだ。二度とこんなことはしない。ちゃんと埋め合わせする」

罵る気力すら残っていない。江原安美は目を赤くし、かすれた声で呟く...

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