第61章
彼はうつむき、自分の手を見つめた。
そこにはべったりと血がついていた。
この血は、誰のものだ――。
江原安美の、血なのか。
だがもう一度、目を凝らして見たときには、手の血は跡形もなく消えていた。
彼は両手で頭を抱えた。
胸をえぐるような罪悪感に、息もできない。
自分だ。
自分の手で、江原安美を危険の底へ突き落とした。
彼女に対して、取り返しのつかないことをした。
今回だけだ。
これきりにする。
これから先は二度と、江原安美を傷つけたりしない――そう固く誓った。
救急処置室のランプが灯る。
川崎佑哉はその扉の前に立ち尽くしたまま、ぴくりとも動かなかった。
どれほど...
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