第63章

ドンドンドン……。

病室のドアが叩かれると、鈴村千雪は即座に、か弱く哀れな表情を貼りつけた。

だが入ってきたのは川崎佑哉ではない。目に失望が滲み、来訪者をじっと見つめて――しばらくしてようやく思い出す。

『暁ちゃん?』

佐藤暁。大学時代のルームメイトだ。卒業後も連絡は取り合っていたが、会うのは久しぶりだった。

『千雪、SNSで入院したって見たの。ちょうど最近時間があったから、お見舞いに来たよ』

暁は部屋を見回し、手にした果物かごをどこへ置けばいいのか迷っている。

ここはVIP病室だった。条件は申し分ない。専用のトイレに、ソファ、テレビまで揃っている。

テーブルにも、ベッドサイ...

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