第25章 あなたの目には私がいるのか

結城凝香は上機嫌だった。今日、協業の話がまとまったのだ。これなら、仕事の軸足を国内へ移すのにも都合がいい。

小さなスイーツを手にソファへ腰を下ろし、親友に電話してこの朗報を報告するべきかどうか――そんなことを考えた、そのとき。

スマホが鳴った。

画面に表示された名前は、紀藤瑛介。

口の中の甘さが、一瞬で色を失った気がした。結城凝香は眉をひそめる。今度は何の用だ。

少し迷ってから、通話に出る。

「紀藤瑛介、何の用?」

「祖父の容体が悪くなった。お前に会いたいって言ってる。今夜、本邸に来い」

ぶっきらぼうな声が耳に刺さる。

つまり、紀藤正博は病院で検査を受けてから本邸へ戻ったの...

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