第30章 おじいちゃん、この子は私の

葉月清奈が身の程をわきまえ、波風ひとつない日々を送っていた――その矢先だった。

ある日突然、紀藤正博の差し向けた者に連れられ、本邸へ向かうことになった。

葉月清奈が連れて行かれた、その直後。

その知らせはすぐに紀藤瑛介のもとへ届いた。

「正博じいさんが、清奈を屋敷に連れて行かせたって?」

書類から顔を上げた紀藤瑛介が、訝しげに眉を寄せる。

紀藤正博はずっと静養中で、前回、結城凝香と自分を同じ寝室に入れた件を除けば、ここ最近は結城凝香にも葉月清奈にもほとんど触れてこなかった。

それなのに、なぜ急に葉月清奈を屋敷へ――。

秘書がうなずく。

「はい、そういう連絡が入っております。...

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