第32章 明日、清奈に謝りに行け

しばし沈黙が落ちたあと、葉月清奈はおずおずと紀藤瑛介を見上げた。

「瑛介……退院して、ちゃんと落ち着いたら……私、やっぱりあなたの家を出るね。じゃないと結城さんが誤解して、また余計な揉め事になるから。前も、あのとき出ていくべきだったのに……ここに居続けた私が悪いの」

名残惜しさと痛みを滲ませた視線が、切実に揺れる。

そんな目を向けられて、瑛介は「そうしろ」とはどうしても言えなかった。

清奈は、かつて彼を庇って体を痛めて以来、体質が弱くなった。

それに加えて、ここしばらくは食事も睡眠もまともに取れず――少し転んだだけで流産しかけたのだ。

ようやく回復してきたところへ、今日は紀藤正博...

ログインして続きを読む