第43章 なぜ結城凝香ではないのか?

結城凝香はこくりとうなずき、紀藤瑛介に支えられながらベッドから降りた。

予備のドレスは床に投げ出されたまま、すでに何度か踏みつけられている。今さら着替える必要もない。

二人は部屋を出た。だが角を曲がったところで、どやどやと人の足音が近づいてくる。その中でも、いちばんはっきり聞こえたのは葉月清奈の声だった。

このまま進めば、鉢合わせは確実。

結城凝香は今、葉月清奈と顔を合わせる気分ではなかった。しかも、さっきの件はまだ終わっていない。このまま去ってしまうなんて、面白みが足りなさすぎる。

結城凝香は紀藤瑛介の手を引き、再びさっきの部屋へ戻った。

そして素早くクローゼットの中へ身を潜め...

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