第44章 紀藤瑛介も薬を盛られた!

誰ひとりとして、結城凝香と紀藤瑛介がずっと部屋の中にいたことに気づいていなかった。室内の視線も意識も、藤井章大のほうで起きている騒ぎにすっかり持っていかれていたのだ。

結城凝香と紀藤瑛介は部屋を出ると、ビジネスレセプションの会場に長居はしなかった。少しだけ場に顔を出したあと、二人そろってそのまま辞去した。

部屋を出て距離ができたせいか、紀藤瑛介の体内にまとわりついていた熱は、かなり引いていく。さっきクローゼットの中で結城凝香と密着していたのが原因で、余計に煽られていただけなのだろう。離れれば、自然と落ち着く。

――しかし、それが逆に引っかかった。

もしかして自分の思考も身体も、結城凝...

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