第56章 彼女を好きになったのか

一方そのころ、倉本浩と紀藤瑛介はバーで酒を飲んでいた。今夜、瑛介を呼び出したのは浩のほうだ。

もともと瑛介は結城家のビジネスレセプションへ向かうつもりだった。だが途中で、倉本浩に強引に連れ去られたのである。

自分でも理由はわからない。ただ妙に苛立っていて、口調もひどく刺々しかった。

「わざわざ呼び出して、酒を飲ませたいだけか? 他に用がないなら帰るぞ」

「あるに決まってるだろ」

浩は瑛介の肩を押さえ、再びソファへ座らせた。

「教えてくれよ。どうやったら結城さんを落とせる? 普段何が好きなんだ。何を食べるのが好きで、何色が好みで、贔屓にしてるジュエリーブランドとかあるのか?」

そ...

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