第13章

和泉白子は殴られて痛む頬をさすりながら、一歩、また一歩と詰め寄ってくる。瞳の奥には濁った陰がべったり張り付いていた。

「和泉静留。あたしが手を出せないとでも思ってるの?」

言い終えるなり、白子は腕を振り上げる。乾いた音が弾け、平手打ちが静留の頬を容赦なく叩いた。頭が横へ持っていかれる。

「何年も我慢してやったのはね、信也の中の『いい女』のイメージを壊したくなかったから。なのに、あんたは調子に乗って自分を特別だと思い込んでた」

得意げに口角を上げ、嘲りを含んだ声をねっとり絡める。けれど次の瞬間、空気はさらに冷たく切り替わった。息をつく隙すら与えない。

「離婚届。あんたが、あんたの母親...

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