第17章

和泉家の別荘には重苦しい空気が垂れ込めていた。和泉国見は卓上の湯呑みを床へ叩きつけ、砕けた破片がぱっと飛び散る。顔を鉄のようにこわばらせ、和泉白子を指さして怒鳴りつけた。

「役立たずが! こんな小さな用事ひとつ満足にできんのか! 周防様の寝所へあの女を送り込めと言っただろう。なのに逃がした挙句、周防の友人まで怒らせた。和泉家を潰したいのか!」

国見は怒りで全身を震わせ、目には「情けない」の一言では済まない苛立ちが渦巻いていた。

そもそも白子が自ら志願しなければ、こんな重要な件を任せるつもりなどなかったのだ。

いま和泉家と周防家の取引は、まさに正念場にある。

うまくいけば、周防の友人...

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