第43章

コートにはまだ平岩空人の体温が残っていて、和泉静留の身体をすっぽりと包み込んでいた。

静留はそれをきつく握りしめる。指先が、かすかに震える。

「……お前、正気か?」

静まり返った室内に、空人の声が破裂した。これまで聞いたことのない、容赦のない厳しさを帯びて。

「一人でこんな場所に来て……その先を考えたのか。俺があと一歩遅れてたら——」

言葉が、途中で途切れる。

視線は床にうずくまり、顔面蒼白の江原信也へ。次いで、乱れた静留の服元と、赤く腫れた頬へと落ちる。

空人の目の奥で、怒りが赤黒く燃え上がった。視界に入るものすべてを焼き尽くしそうなほどに。

いきなり叱りつけられて、静留は...

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