第60章

翌朝早く、佐藤啓介の手配でメイクスタッフがやって来た。

「和泉さん、素人さんとはいえ、最低限は整えないと」

メイク担当が丁寧にそう告げ、和泉静留の了承を得ると、すぐに手際よく作業を始めた。

鏡越しにちらりと視線を合わせながら、世間話も挟んでくる。

「和泉さん、お肌すごくきれいですね」

「ありがとうございます」

静留はちゃんと受け取り、相手の言葉を宙ぶらりんにしない。

収録のバックステージ。

華蓮はきょろきょろと興味津々で辺りを見回し、翔太は周囲を警戒するように目を走らせている。平岩景也は相変わらず淡々としていた。

こういう現場は、以前に平岩空人について一、二度来たことがある...

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