第109章

闇の中。

二つの裸体が、互いを確かめ合うように堅く抱き合っていた。

女の柔らかな膨らみが男の厚い胸板に押し付けられ、一切の隙間もない。

不意に、二人の間に奇妙な沈黙が落ちた。どちらも口を開こうとはしない。

この瞬間、二人の間には阿吽の呼吸とでも言うべきものが生まれ、会社のトラブルについては誰も触れようとしなかった。

疲労が限界に達していたのだろう。星野煌の腕の中で、零崎折識はすぐに安らかな寝息を立て始めた。

暗闇の中、胸元にかかる彼女の熱い吐息を感じながら、星野煌は喉仏を上下させ、腕の中の愛しい人を見つめて苦笑いを浮かべた。

指先でそっと零崎折識の頬をなぞり、墨を流したような漆...

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