第112章

多くの期待の眼差しを受け、零崎折識はかつてない誇りを感じていた。

ハイヒールを鳴らし、まるで凱旋将軍のように、衆人環視の中を意気揚々と会社から歩み出る。

だが、車に乗り込んだ瞬間、その勇気は霧散した。

なんてことだ。あの警察たちは余計な気を回してくれたものだ。まさか星野煌と同席させられるなんて。

昨夜はベッドの上で情事を重ね、男女の仲としてこれ以上ないほど深く繋がり、負の距離になるまで求め合ったというのに。

なぜか、妙に緊張してしまう。

車内は広々としているはずなのに、今は息が詰まるほど狭く感じる。

男の圧倒的なオーラに押され、零崎折識はじりじりと体をずらし、ドアにへばりつくよ...

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