第144章

夜はどこまでも長く、重苦しい。

椿原冴と水鏡美琴の二人はバーの個室に陣取り、朗報が届くのを今か今かと待ちわびていた。

しかし、すでに時計の針は深夜を回っているというのに、スマートフォンを何度確認しても、着信はおろかメッセージ一通届かない。

おかしい。

親が子を知るように、子もまた親を熟知しているものだ。

長年の付き合いから、椿原冴は両親の性格を痛いほど理解していた。もし計画が成功していれば、真っ先に電話をかけてきて、その成果を自慢げに語るはずなのだ。

まさか、何かあったのだろうか?

不安に駆られた彼女は、震える指で通話ボタンを押した。

『おかけになった電話は、電波の届かない場...

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