第147章

零崎折識は行ってしまった。

あまりにもあっさりと、迷いなど微塵も感じさせない背中だった。

椿原冴は一人カフェに取り残され、去りゆく零崎折識の姿を見つめながら、全身を襲う脱力感に打ちひしがれていた。

一体どうして、事態はここまで最悪な方向へ転がってしまったのだろう。

零崎折識もまた、自分と同じような閉鎖的な村の出身だと思っていた。だからこそ、貞操観念には人一倍厳しいはずだと。

それなのに、弟は過去を水に流し、傷物になった彼女を「貰ってやる」と言ってくれたのだ。本来なら、泣いて喜ぶべきところではないのか。

ところが、彼女は感謝するどころか、そのまま立ち去ってしまった。

それだけでな...

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