第156章

零崎折識は階段を上りきったところで、とっさに身を隠した。

廊下の先、部屋の前に二人の姿があったからだ。

どういうこと?

なぜ二人があそこに?

しかも星野煌は半身を部屋に入れ、今にもドアを閉めようとしている。

零崎折識は耳を澄ませた。水鏡美琴の悲痛な訴えが聞こえてくる。

「どうすれば結婚してくれるの? 私の願いはあなたのお嫁さんになることだけなの。お願い、叶えて。結婚した後なら、外で女を作っても構わない。邪魔もしないわ。だから今、私と……」

今の水鏡美琴には、もう後がなかった。

二人の婚約は周知の事実だ。もしこのまま婚約破棄となれば、世間体は保てず、彼女の居場所はどこにもなくな...

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