第165章

漆黒の瞳に、零崎折識の引きつった顔が映り込んでいる。

零崎折識は照れ隠しのように笑った。

「あ、はい、分かりました……」

そう言うと、気配を消すように身を縮めた。

空港へ到着するや、零崎折識は叱られた嫁のように大人しく彼の後ろをついていく。

今回もまた、ビジネスクラスだった。

席に着くと、前回の情事が脳裏をよぎる。

なんてことだろう。急にシートが熱を持ったように感じて、お尻がむず痒い。

彼女はおずおずと顔を上げた。星野煌は座るなり目を閉じていた。

彼女は胸を撫で下ろす。

寝ててくれるならいい。

それなら、あの手も悪さをしないはずだ。

やがて機体が浮き上がった。

零崎...

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