第166章

「起きろ」

頭上から気怠げな声が降ってくる。

零崎折識は弾かれたように顔を上げた。端正な顔立ちが、目の前に迫っていた。

星野煌は唇の端を吊り上げ、その瞳にはからかうような色が浮かんでいる。

「まだ寝足りないのか? もう降りるぞ」

零崎折識はようやくここがどこかを思い出した。混沌とした頭がいくらか冴えるのと同時に、星野煌の腕の中から勢いよく飛び出す。機内の乗客はすでにほとんど降りてしまっていた。

彼女は慌てて身体にかけていた毛布を跳ね除け、身につけている服が乱れていないのを確認して、ほっと安堵の息を吐く。

「よし、降りる支度をしようか」

星野煌は腰を屈め、零崎折識を抱き上げよう...

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