第170章

「よく考えなさい、美琴。あなたは私たちの掌中の珠なのよ。手塩にかけて育てた娘に、そんな真似はさせたくないわ」

「お母様、私にはもう後がないの。零崎折識と星野煌、あの二人の間に何があるのかは分からないけれど、あの女は今までとはあまりに違いすぎる」

水鏡美琴はワイングラスを手に取り、軽く揺らした。その眼底には、冷ややかな光が宿っている。

「かつては琴音、そして今度は零崎折識……。とにかく、私は危機を感じているのよ。早く嫁いでしまわないと。そのためには、妊娠するのが唯一にして確実な道だわ」

……

ドアの向こうで、その会話はまだ続いていた。

だが、聞いてしまった零崎折識は、全身が凍りつく...

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