第171章

「どうしてそんな態度をとるの? 私はあなたの婚約者よ。困っているあなたを助けるのは当然でしょう? すぐ隣の個室に行きましょう、私が連れて行ってあげるから……」

水鏡美琴はありったけの力を込め、星野煌の腕を抱え込むようにして、すぐそこの個室へと引きずっていった。

対する星野煌は必死に抵抗しているものの、その手で彼女を突き放すことができない。

大柄な体躯を持つ彼だが、その動きは綿のように柔らかく、まるで力が抜けてしまっているようだった。

あっという間に、水鏡美琴は星野煌を連れて個室へと姿を消した。

バタン、とドアが閉まる音が響く。

零崎折識は心臓が止まりそうになりながらも、小走りで個...

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