第174章

乾いた音が響いた。

零崎折識の顔が横に弾かれ、頭の中がワンワンと鳴る。頬には焼けるような痛みが走っていた。

「何をするんですか」

星野煌の冷徹な声。彼は大股で近づくと、零崎折識を背に庇うようにして立ちはだかった。

「母さん、いきなり人を叩くなんて」

「叩いて何が悪いの。この泥棒猫があなたを助けたんでしょう? 監視カメラの映像は消したようだけど、調べはついているのよ。昨日、この女もあのホテルにいたわね」

星野煌の母の眼光は鋭く、息子の肩越しに冷ややかに零崎折識を見下ろした。その瞳には濃厚な蔑みが宿っている。

「いいこと、どんな手を使ったか知らないけれど、こんな女がうちの敷居を跨ぐ...

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