第18章

零崎折識は曖昧な笑みを浮かべるだけで、何も答えなかった。返す言葉が見つからず、いっそ黙っていたほうがいいと判断したのだ。

荷物を運び終えたのを見計らい、琥珀椿は長居は無用とばかりに、気を利かせて早々に立ち去っていった。

机の上には物が雑然と置かれている。零崎折識はそれらを一つひとつ、ゆっくりと丁寧に整頓していった。

片付けを終えて、改めてこの新しいオフィスを見回す。皆が秘書になりたがるのも無理はない。

誰だって、自分だけの個室に憧れるものだ。

オフィスの奥にはもう一つドアがあり、その向こうには星野煌がいる。

今日から、彼女と星野煌を隔てるのはたった一枚の扉だけとなった。

元を正...

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