第197章

その一言は、まさに天啓だった。

零崎折識は顔を上げ、溢れそうになる涙をぐっと堪えた。

「そうね……あんたの言う通りだわ。弟も少しは自分の頭で考えるべきよ」

「弟さん、もうすぐ公務員試験を受けるんでしょう? それが絶好のチャンスじゃない」

公務員といえば、身辺の潔白さが何より求められる。誰かに通報されたり、不祥事を起こしたりすれば命取りだ。

最悪の場合、採用取り消しや免職もあり得る。

蓮見紅羽は悪戯っぽく笑った。

「ほら、いい弱みになるじゃない? 両親の老後の面倒とか、そういう厄介事も全部解決できるわよ」

二人は笑い合い、いつの間にか杯を重ねていた。

やがて、零崎折識の目はす...

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