第218章

室内は静寂に包まれ、針が落ちる音さえ聞こえてきそうだ。

一歩外に出れば、鼓膜を震わせるような音楽の重低音と、鼻をつく濃厚な酒の臭いが漂っているというのに。

扉一枚を隔てただけの別世界。

ソファに腰を下ろした二人の男は、重苦しい沈黙に沈んでいた。

どれほどの時間が流れただろうか。零崎折識はゆっくりと立ち上がった。

「その件については分かった。君をフランスへ逃がす手助けをしてもいい。だが、僕自身の進退については、少し考えさせてくれ」

「パーティーは目前だぞ? 悠長に考えている時間があると思っているのか? 俺の知る限り、あの二人は婚約発表の直後に国外へ発ち、入籍する手はずになっている」...

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